交際して7年、彼の転勤を機に入籍をすることに決めた二人。
30代も後半にさしかかり、いまさら結婚式なんて……と考えていましたが、「結婚式はどうするの?」と少し嬉しそうに聞いてくる親に「考えていない」とは言えずにいました。


思えば、今まで親孝行らしいことを全くしてこなかったな──


社会人になってからは、仕事と好きな旅行にひたすら時間を使っていて、親に何かをしてあげたことはありませんでした。


二人は良い機会だと思い、式を挙げることを検討し始めました。

海外も候補に上がりましたが、親の身体のことも考え、移動が負担にならない国内に絞ることにしました。


沖縄、北海道、軽井沢……どこも素敵には思えるのですが、今ひとつ自分たちが結婚式をするイメージができずにいました。


いつものようにタブレットで検索をしていると目についた、加賀屋の「能登温泉ウェディング」。


料理は美味しそうだし、温泉なら親もゆっくりできる。東京から3時間半ならちょっとした旅行気分もあって良いかもしれないな……


「下見宿泊フェア」があることを知り、旅行が好きな二人は能登に行ってみることにしました。

東京から3時間と少しで能登・和倉温泉へ到着。
ちょっとだけ足を伸ばしたこの距離感も良いかもしれないと感じました。


加賀屋につくと、プランナーの方が出迎えてくれ、プランや会場について詳しく案内をしてくれました。会場はたくさんあって迷うほどでしたが、親身になってくれたプランナーの方のおかげで自分たちらしい式のイメージが湧きました。

いろんな話を聞いた後の夕食。
魚は美味しいのはもちろんでしたが、その後に出てきたとろけるような能登牛とフルーティな能登ワインが気にいりました。


そのあと、温泉に浸かり、かすかに潮の香りを感じながら静かな景色を眺めているときに思いました。


こんな風に親にもゆっくりしてもらえたらいいだろうな──


同じことを感じていた二人は、ここで式を上げることに決めました。

「いいね、楽しみだなぁ。」


さっそく両親に伝えた二人はその笑顔を見て、結婚式を決心してよかったと思いました。


調べてみると能登には、家族と行きたいところが多くありました。
器好きの母には輪島塗やガラス体験、お酒好きの父には酒蔵やワイナリー巡り。両親の喜ぶ顔が想像できました。


そういえば、母は「まれ」が好きだったっけ。


「1番はしゃいでいるだろうね」
「間違いないね」


母の様子を想像した二人は笑いあっていました。

プランナーの方とメールや電話で打ち合わせを重ねて迎えた、結婚式当日。
前日から入り、旅館の中にあるエステも行って準備万端。
衣裳を着て改めて向き合ってみると少し気恥ずかしい感じがしました。


どことなく緊張した様子のまま挙式を終え、披露宴がスタートしましたが、すぐにくつろいだなごやかな雰囲気になりました。
旅館ならではの美味しい料理とおもてなしのおかげかもしれないと思いました。


みんな泊まりだから時間を気にすることなく、ゆっくり美味しいものを食べて、みんなで温泉に使って……みんなでゆっくりとした良い時間を過ごせたように思いました。


友人たちは能登を回ったり金沢へ行ったりして過ごすそう。
私たちは旅館の方たちに見送られ、両親と能登の観光へ向かいました。


思ったとおりにはしゃぐ母と機嫌の良さそうな父。

今まで親孝行なんてしたこともなかったし、これがそうだったのかは自信がないけど、楽しそうな両親を見ていると幸せな気持ちになりました。


どことなく“らしさ”があって変わらないような能登の雰囲気も気に入りました。


またみんなで来たいねといって能登を後にしました。